2020年1月1日DAZ ScriptDAZ Script,DAZ Studio

前回の記事「ダイアログボックスに画像を表示する」では、ダイアログボックス上に画像を表示させました。

さて、ダイアログボックス上に画像を表示させるのなら、当然ボタンをクリックしたり、DAZ Studio上の状況変化に応じて表示内容を変化させたくなります。

クリック処理をクロージャで実装する

以前の記事「DAZ Scriptでウィンドウを表示する」でもクリック処理は実装しました。

今回はJavaScriptでよく用いられる「クロージャ」というテクニックを用いて、クリック処理を実装します。

次のようにPixmapオブジェクトを切り替える処理をclicked()シグナルに紐付けることで、ボタンをクリックするたびに画像を切り替えることができます。

function SwitchGen(_label, _xyz) {
    var label = _label;
    var xyz = _xyz;
    var index = 0;
    
    //XYZ画像を切り替えるクロージャ
    function inner() {
        index++;
        index = index % xyz.length;
        label.pixmap = xyz[index];
    }
    return inner;
}
(function () {
    var filepath = "C:/dazscript/images/local-user-product.png";
    var pix_X = "C:/dazscript/images/X.png";
    var pix_Y = "C:/dazscript/images/Y.png";
    var pix_Z = "C:/dazscript/images/Z.png";
    
    var dialog = new DzDialog;
    
    //ラベル要素(背景)
    var dialog_label = new DzLabel(dialog);
    var pixImage = new Pixmap(filepath);
    dialog_label.pixmap = pixImage;
    
    //ラベル要素2(XYZ画像)
    var pix_XYZ = [
        new Pixmap(pix_X),
        new Pixmap(pix_Y),
        new Pixmap(pix_Z)
    ];
    
    var dialog_label_xyz = new DzLabel(dialog);
    dialog_label_xyz.pixmap = pix_XYZ[0];
    dialog_label_xyz.x = 20;
    dialog_label_xyz.y = 50;
    
    //ボタン要素(XYZ画像の表示を切り替える。)
    var dialog_button = new DzPushButton(dialog);
    dialog_button.text = "switch dialog_label_xyz";
    
    //XYZ画像を切り替えるクロージャを取得
    var switch_xyz = SwitchGen(dialog_label_xyz, pix_XYZ);
    
    connect(dialog_button, "clicked()", switch_xyz);
    
    //ダイアログ設定
    dialog.width = pixImage.width;
    dialog.height = pixImage.height;
    dialog.exec();
})();

実行結果は次のようになります。
「switch dialog_label_xyz」ボタンをクリックするたびに「X」「Y」「Z」を切り替えます。
なお、PNG画像の透過設定はそのまま適用できます。

dialog_labelはただの背景として用意しただけですので、本流の処理とは関係ありません。dialog_label_xyzが今回メインとなる、切り替えに使用するラベルです。

前回と同様に、画像ファイルをPixmapオブジェクトに読み込み、DzLabel#pixmapに設定していきます。

Pixmapの配列としてpix_XYZ[]を生成しておき、dialog_label_xyz.pixmapには初期値としてpix_XYZ[0](Xの画像)を格納しておきます。

45行目のswitchGen関数が今回のポイントで、切り替え操作対象のラベル(今回はdialog_label_xyz)とPixmap配列のpix_XYZを渡し、それを用いて切り替え処理を行うinner関数を受け取ります。

受け取ったinner関数はswitch_xyzに格納しておき、これが「クロージャ」になります。

connect関数で、切り替え用ボタン(dialog_button)とシグナル(clicked())とコールバック関数(クロージャにしたinner関数ことswitch_xyz)を紐づけます。

exec関数でダイアログを表示したら、スクリプトは一旦停止します。

その後、「switch dialog_label_xyz」ボタンをクリックするたびにinner関数が呼ばれ、操作対象ラベルのpixmapプロパティに格納する画像が順次差し替えられます。

このときinner関数はクロージャにしてあるため、labelとindexとxyzの値は保持され、処理が終了しても値がリセットされることはありません。

ボタンをクリックするたびに順番にX→Y→Z→X…と表示することができます。

まとめ

JavaScriptでよく見られる「クロージャ」というテクニックについては、他に詳しく説明しているサイトが多数ありますので割愛します。

今回のポイントは、DAZ ScriptでもJavaScriptと同じようなテクニックが使えるということです。

これは便利な半面、例えばクロージャになるinner関数内でthisを使うと、上手くxyzを取得できないといった、JavaScript特有の制約もそのままDAZ Scriptでも発生してしまいます。

こういった制約については、すでにJavaScriptで様々なバッドノウハウがありますので、制約に遭遇するたびに検索して解決策を見つけても良いのですが、個人的にはTypeScriptを活用して、素直に組んだコードで開発するほうが、デバッグ環境もおぼつかないDAZ Scriptにおいては効果的だと思います。

先ほどのthisについても、TypeScriptのアロー関数式とclassを組み合わせることで回避可能です。

このやり方については、また別記事で改めて書こうと思います。

2020年1月2日DAZ ScriptDAZ Script,DAZ Studio

DAZ Scriptで開いたダイアログボックスに画像を表示するには、ラベルのpixmapプロパティにPixmapオブジェクトを格納し、ダイアログのexec()を実行します。
具体的には以下のようになります。

(function () {
    var filepath = "C:/dazscript/images/local-user-product.png";
    var dialog = new DzDialog;
    
    //ラベル要素
    var dialog_label = new DzLabel(dialog);
    var pixImage = new Pixmap(filepath);
    dialog_label.pixmap = pixImage;
    
    //ダイアログ設定
    dialog.width = pixImage.width;
    dialog.height = pixImage.height;
    
    dialog.exec();
})();

実行結果は次のようになります。

処理順序としては、まずDzDialogの表示するDzLabelをnewで生成します。
その後、new Pixmap()で「C:/dazscript/images/local-user-product.png」の画像ファイルを読み込み、DzLabelのpixmapに格納します。
あとは、dialogの大きさを調整して、dialog.exec()でダイアログを表示します。
今回はDzLayoutを使用していないためダイアログの大きさを自分で設定する必要があり、設定しない場合は最小サイズでダイアログが表示されてしまいます。

Document Centerにより詳しいサンプルもある[1]How can I display images in a dialog box[2]Simple Image Dialogのですが、スクリプトらしく手軽に表示するだけなら、上記で十分です。

ちなみにDocument Centerのサンプルの実行結果は次のようになります。

2020年1月1日DAZ ScriptDAZ Script,DAZ Studio

DAZ StudioのSceneペインに表示されているNodeや、PosingペインのPropertyは、それぞれにLabel情報とName情報を保持しています。またPropertyはNumericPropertyなどいくつかの種類に分かれており、それぞれ各設定値の取り出し方が異なります。

このため、DAZ Scriptのどのメソッドを使うとどの情報が取り出せるかが、メソッド名から推測しにくい状況にあります。

そこでとりあえず、「ウィンドウ上に見える情報を取得するためのメソッド」をまとめてみました。

No表示内容の概要対応するDAZ Scriptのメソッド
1ParameterのName
通常目にする機会はない情報。
DzProperty#getName()
DzNumericProperty#getName()
2ParameterのLabel
Parameterペインのリストとして表示される。
DzProperty#getLabel()
DzNumericProperty#getLabel()
3ParameterのPath
Parameterペインの階層構造と一致し、そのルートはSceneペインで選択しているNodeになる。
DzProperty#getPath()
DzNumericProperty#getPath()
4対象のParameterを、Parameterペイン上に表示する/しないの設定DzProperty#isHidden()
DzNumericProperty#isHidden()
5Parameterの数値変更可能/不可能DzProperty#isLocked()
DzNumericProperty#isLocked()
6Parameterの数値の制限のOn/Off
DzNumericPropertyクラスでしか設定できない[1]adjust property “Use Limits" in script [SOLVED]
DzNumericProperty#isClamped()
7親NodeのLabel
Sceceペイン上での表示と一致する。
DzNode#getLabel()
また下記のように、Property側からアクセスすることもできる。
DzProperty#getOwner().getLabel()
その他親NodeのName
通常、目にする機会はない情報。
DzNode#getName()
Labelと同様に、Property側からアクセスすることもできる。
DzProperty#getOwner().getName()

紛らわしいことに、Parameterの情報を格納しているクラスなのに、DzProperty~という名称になっています。